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2011年9月19日 (月)

第4回研究集会を開催しました。

 去る9月11日(日)14時から18時近くまで、國學院大學学術メディアセンター5階会議室06において「戦争死者慰霊の関与と継承に関する国際比較研究」第4回研究集会を開催しました。今回は、國學院大學研究開発推進センター「慰霊と追悼研究会」、ならびに「宗教と社会」学会「戦争死者慰霊の関与と継承」プロジェクトとの共催でした。

 以下の2名のゲストスピーカーをお招きし、充実した発表・質疑が行われました。

ミャッ・カラヤ(Myat Kalayar、長崎短期大学英語科准教授)
「慰霊巡拝がもたらす日緬友好の現状」

M.G.シェフタル(Mordecai George Sheftall、静岡大学情報学部社会科准教授)
"Formal kamikaze memorialization in the early postwar period"

 ミャッ・カラヤ氏の報告では、まず、ミャンマーの基本情報や第2次大戦におけるビルマ方面の戦闘の概要が説明され、その後、ミャンマーの特にメッティーラ(メイクテーラ)市における慰霊巡拝と国際交流の様子について、ミャッ・カラヤ氏自身の関与も含めて紹介された。

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 1969年にミャンマー政府の外国人入国許可を受けて巡拝旅行が計画されるようになり、1996年のビジット・ミャンマー・イヤーにおける団体客入込数の実に85%が慰霊巡拝のために訪問しているという事実や、慰霊のためにパゴダ(仏舎利塔)の形式で慰霊塔が建立され、それがミャンマーの仏教徒によって受け入れられている事実などが指摘された。

 慰霊団は、慰霊塔の建立のほか、学校建設や浄水施設の寄贈など、戦時中の恩返しとして草の根の国際貢献が行われており、1987年に世界平和パゴダを建立したアジア仏教徒協会(ABBA)の活動や、国際協力の会(MIS)の活動が、こうした慰霊との関係から起こってきている。また、ミャッ・カラヤ氏自身も慰霊団の人々から日本での就学支援を受けたこと、さらにはそれに対する恩返しとして自身でミャッ・カラヤ奨学金を設立し、旧戦地出身の留学生の支援にあたっていることなどが紹介された。

 このように慰霊巡拝が次世代に及ぼしているダイナミックな展開についての報告を受け、学校建設の詳細や、慰霊団に対する現地の否定的イメージの有無、ミャンマー僧の慰霊への関わりなどについて活発な質疑応答がなされた。

 続いて行われた、M.G.シェフタル氏の報告では、まず、自身がちょうど10年前の9・11の同時多発テロ事件の「カミカゼ」報道に違和感を感じたことから特攻の研究を始めたことが紹介された。続いて、特攻の歴史的背景に触れ、Terror Management Theory(存在脅威管理理論)にもとづいた理論枠組みについて説明がなされた。

Rimg00902  人々にとっての象徴的宇宙であり世界観であり日常的に意識しているものごとであるところの生活世界において、人々の日常的行動の範囲を管理しているのが言説であり、トラウマによって破壊された自尊心とライフワールドを確保するために、他者のせいにして事故の一部を分離して外部化するCORF(Cutting Off Reflected Failure)について説明された。

 そうした理論的枠組みを元に、戦没特攻兵の慰霊施設である世田谷観音内の「特攻観音堂」をめぐる動向が事例研究として報告された。「白蓮社」の関口真大が法隆寺の夢違観音のコピーを108体作製し、それが陸海軍の戦没特攻兵の慰霊のために1952年に護国寺に安置されたこと、その後1955年には世田谷観音に移され、別のコピーが知覧にも安置されたことをはじめ、戦後社会における特攻の神話化に関するさまざまな言説が紹介された。

 質疑応答では、「言説」概念の妥当性やCORF理論のとらえ方などが会場から指摘され、活発に議論された。

 *次回の第5回研究会は、研究代表の西村が滞在中の奄美大島において3月3日(土)に行う予定である。現在確定しているゲストスピーカーは、『死者たちの戦後誌―沖縄戦跡をめぐる人びとの記憶』(御茶の水書房、2009年)の著者である北村毅氏(早稲田大)と、Cultures of Commemoration: The Politics of War, Memory, and History in the Mariana Islands(University of Hawaii Press, 2011)の著者であるKeith Camacho氏(UCLA)である。併せて奄美の戦跡をめぐるエクスカーションなども行う予定であり、詳細決定次第、本ブログのほか、関連学会のHPやMLでも連絡予定である。

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